謎の頭脳集団POGを影で操っているのは、パズル・デザインを担当させていただいた、私ゴーナイです。ここでは、毎回メーンとなっているパズルを中心に、簡潔に解説しようと思います。
さて、カイトの元に送られてきたのがミノタウロスの迷路(図1)。ミノタウロスは、迷宮に閉じ込められた神話上の怪物。このマップは、通路と壁が同じ幅で描かれています。これだと、マップの途中を指差したとき、そこが通路なのか壁なのか一瞬分からなくなってしまう。カイトが机を並べて、迷路を再現してみたのも、マップでは分からない何かを感じたかったから。突飛な行動に見えて、ちゃんと考えているんですね。実は、ここで重要なヒントが…。机の迷路には、机が二重に並んでいるところがあります。ただ壁が太いだけなら、マップ上でも壁の幅が広いだけのはずですが、マップは他と変わらず普通に見えます。試しに、マップの壁に色を付けてみましょう(図2)。どうです、大きな迷路の中に小さな迷路があるのがわかりますか。これなら迷路が動くという発想が生まれても不思議じゃない。カイトは、ここではまだ気付きませんが、きっと何かを感じたはずです。
もう1つ、重要なポイントになるのが斧。その昔、ギリシャでは双頭の斧(ギリシャ語でラビリュス)が祭事に使われていて、一説にはラビュリスがラビリンス(迷宮)の語源になったともいわれています。怪物ミノタウロスも、よく斧を持った姿で描かれますよね。携帯端末に表示されたミノタウロスのTの文字も斧だし、扉のスライドパズルも斧、斧が迷路を開くカギになっていても当然なわけです。ついでにいうと、出口までの正しいルートには、斧を象ったような軌跡が表れます(図3)。
それから補足説明を1つ。ノノハが、迷路は片手を壁につけて進めば出口に出られるといっています。一般的には正しいのですが、迷路が二重構造以上で、入口が外側にあって出口が内側にある場合(あるいはその逆)、出口に出られずにまた入口に戻ることがあります。分岐点に来たら目印を付ける(パンを千切って落とすとか、マーキングするとか!?)方がわかりやすいかも知れません。紙の上なら、袋小路を塗り潰すという方法が簡単です。正しいルートが白地になって表れますから。
ということで、第1回はこれくらいにしましょう。カイトたちは天才で、どんなパズルも解いてしまいます。これを分かりやすく説明するのは大変ですが、できるだけがんばりますので、今後とも、このコーナーをよろしくお願いします。
(文責:郷内邦義)
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