カイトたち3人が招待された先は、POG本部。ティルトローター機で迎えに来たり、あれだけの巨大な施設を見せられたり、どんだけ大きな組織なんだろうと思ってしまいました。実際は、人の気配の感じられない虚構の城のようなものでした。さて、ここで挑戦させられたのが3種のパズル。ディスクタワー、ストーンヘンジ、あみだシューターで、いずれもカイトとは深い関係があります。
1本目のディスクタワー(図1)は、カイトがイギリス留学中、青年Xと謎の少年の3人で遊んだシーンが回想で登場します。カイトが両手で抱えているところを見ると、おそらく謎の少年が手作りしたもののようですね。
8枚の円盤(ディスク)の側面が、それぞれ8等分されていて、8色(赤、青、黄、緑、紫、橙、水色、茶色)に塗り分けられています。使っている8色は同じですが、円盤ごとに順番が異なり、同じ順番の円盤はありません。これらの円盤をそれぞれ回転させて、すべての縦の列(8か所)の中に、同じ色が重ならないようにするのが、このパズルの目的です。つまり、8×8のマス目を使った「色のナンプレ」だと思うと分かりやすいですね。ただ、横列は回転して配置を変えますが、色の順番は変わらないので、横列の組み合わせだけで考えることができます。例えば、一番下を固定すると、その組み合わせは、1×7×6×5×4×3×2×1=7!=5040通りとなります。まあ、答は1通りというわけではない(答が何通りあるかは調べていません)ので、組み合わせほど難しくはありません。
実際の色の配置は(図2)の通りです。厚紙などで模型を作って、ギャモンばりに挑戦してみても楽しいですよ。
2本目のストーンヘンジは、世界遺産にも登録されている、イギリスのストーンヘンジをモチーフにしたパズルです。カイトは、子どもの頃によく遊んだといっていますし、回想シーンにもストーンヘンジらしき光景が登場しますから、イギリス?(クロスフィールド学院だけ?)ではポピュラーなパズルなのかも知れません。
盤上に、高さの異なる石柱が16本立っていて、2本ごとにそれを渡すように石板が8枚乗せられています。石板を押し下げたり、引き上げたりすると、その石板を乗せている石柱が上下し、それに連動して他の石柱が上下します。石板を乗せている同士の石柱の高さの差が2以上になると、石板が落ちてしまいゲームオーバーとなります。石板を落とさないようにしながら、すべての石柱の高さを同じにするのが、このパズルの目的です。(図3)には、スタート時の各石柱の高さの割合が書き出してあります。
各石板は、同じ高さもしくは差が1の2本の石柱の上で釣り合っています。例えば、石柱(6、7)の石板を1押すと、これ自身は(5、6)となり、どこかの石柱2本がそれぞれ+1となるわけです。高さの割合の合計はちょうど80です。これを16で割ると各石柱は5になります。つまり、すべての石柱を5にすれば完成です(図4)。
ギャモンがやってみたのも、まずは、どの石柱とどの石柱がリンクしているかを知ることでした。メモをしなくても、ちゃんと関連性を理解してしまうギャモンも、やっぱり天才ですね。(図5)は、どの石柱とどの石柱がリンクしているかを示したものです。これさえ分かれば、後は、算数の足し引きだけで簡単に答が出ます。差が2以上にならないようにすることだけ注意して、みなさんも挑戦してみてください。
最後のあみだシューターは、カイトにとってみると、相当に因縁深いパズルのようです。カイトが子どもの頃、カイトの両親らしき2人が、これに似たパズルで命を落としたらしい(葬式の回想シーンあり)からです。幼いカイトにとって、かなりのショックだったことは容易に想像できます。ここで一度はパズルを捨ててしまったわけですが、それを救ったのは、どうやら青年Xのようですね。葬式のシーンでは、幼い頃のノノハが登場するので、たぶん両親が亡くなったのは日本ではないでしょうか。もっとも、3人とも探検をするような服装なので、外国だったとも考えられますが…。とはいえ、カイトの過去をここまで把握しているPOGって、どこまで大きい組織なのでしょう。
さて、このパズル、ルールを知らずにやるには、あまりに危険です。ノノハがまずメモをする機転は、さすがカイトのお目付け役と呼ぶに相応しい行動でした。これのお陰でギャモンも解くことができたし、シューターが落ちるという予想もついたわけですから。初めは半信半疑でスタートしたギャモンとノノハですが、進めるうちにルールを理解したようです(図6)。
ルールの説明をしておきましょう。
スタート地点、ゴール地点、途中の2か所の島には、乗って移動するシューターが設置されている。各シューターには、2~3のランプが点灯していて、1回使うごとに1つランプが消える。すべてのランプが消えると、シューター自身は用をなくし、落下して消える。シューターはあみだくじの要領で進み、シューターが移動した先に空のシューターがあると、ランプの数に関係なく落ちて道を譲る。すべてのシューターのランプを0(シューターを全部落とす)にして、ゴール地点にいれば、ゴールの扉が開いてクリア。
ここでも、ギャモンの天才ぶりが分かるシーンでした。3つのパズルとも、ギャモンはルールを知らされることなく、数回の動きからルールを掴んで、どれもちゃんと解いてしまっています。結局、カイトが逆暴走してしまい、POG幹部に対するギャモンのアピールは、中途半端な結果になってしまいました。ただ、POG幹部にも、ギャモンの能力の高さは侮れないと感じたことでしょう。私個人としても、ギャモンの活躍には期待していますが、さてどうなることか…!?。
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(文責:郷内邦義)
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