カイトが幼い頃、両親が命を落としたのが、隧道遺跡にある愚者のパズルでした。アニメの中では、名前も場所も出てきませんが、日本のどこかであることは分かります。この遺跡のモデルとなっているのが、熊本県菊水町にあるトンカラリン遺跡です。トンネル型の暗渠の中に石舞台と呼ばれる箇所があります。何の目的で作られたか、詳しいことは分かっていません。地元にその起源を示す記録もなく、一切が謎に包まれたままです。1975年、推理作家・松本清張がこの地を訪れると、その後「邪馬台国の卑弥呼の鬼道説」を唱えました。これによって脚光を浴び、一躍有名になりました。トンカラリン遺跡の実物は見ていませんが、写真や資料から想像を膨らませて考えたのが「あみだシューター」です。大きなトンネルの中の暗渠に、ぽつぽつと浮かぶいくつかの石舞台。それを繋ぐようにロープが張り巡らされている。石舞台へは素直に進めず、あちらこちらに曲がって進む。これは初めに考えたイメージです。登場は#17と遅いのですが、#05の段階ですでに完成していました。あみだくじをパズルに組み入れたのも、この遺跡同様、神秘的なイメージによるものです。あみだくじは、室町時代から行われていたと記録されています。初めは、現在のような縦の平行線に横線を入れたものではなく、真ん中から外に向かって放射状の線を並べていました。この形が阿弥陀様の後光に似ているところから、この名前が付いたとされています。現代のあみだくじの場合、上の項目と下の項目とは、横線がいくつあっても1対1で対応して、決して重複しないことが、数学的帰納法や背理法によって証明されています。
では、問題のあみだシューター(図1)を見てみましょう。スタートとなるこちら側(E)から、ゴールとなる向こう側(A)の間に、石舞台3つ(B、C、D)があります。これらをあみだ状のロープが張り巡らされて、繋いでいます。ロープにはゴンドラが下げられていて、これに乗ってゴールを目指します。ゴンドラには蝋燭が最大3本備え付けられていて、1回乗るごとに1本消費します。蝋燭が全部消えると、ゴンドラは奈落の底へと落ちます。あみだくじの要領で進み、行った先に空のゴンドラがあると、蝋燭の本数に関わらず、乗っているゴンドラを優先させて、場所を譲るために落ちてしまいます。こうして、すべてのゴンドラを落とした上で、ゴール地点に到達すればクリア。
前に述べたように、あみだくじは1対1に対応しているので、あみだくじ部分を直線にした図に直すことが可能です。これが図2です。こうすると、より簡単に見えます。
カイトが行った手を示しておきます。これは正解手順の1例です。
E3-C1-B2-A4-D3-E4-D1-C2-A2-B4-E2-D2-A3-B3-C3-D4-E1-B1-A1-C4-E3-C1-B2-A4-D3-E4-D1-C2
次回、カイトの過去を知ったギャモンに変化が現れ、ある行動を起こします。今後、益々目が離せませんね。乞うご期待です。
(文責:郷内邦義)
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