解道バロンによって明かされる、ジンとバロンの物語が今回のテーマです。ルート学園で共に学んだ二人は、卒業後、POGに入ります。アニメでは、学園生活の最後に、バロンが出した問題(図1)が、黒板に描かれていました。「Φ」の文字を象ったナンプレで、バロンのギヴァーとしての才能の一端を窺い知ることができます。これを簡単に解いてしまったジンに、バロンは尊敬の念さえ見せるのでした。ナンプレは、ファイ・ブレインではおなじみのパズルですが、学園長も作れるとは驚きですね。実力は、武田よりも遥かに上です。おそらく、ナンプレは、ルート学園の伝統なのかも知れませんね。
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さて、バロンが、POG内でジンを発見したとき、ジンがただひたすらに解いていたパズルがありました。これは「ハノイの塔」と呼ばれるものです。初めて登場したのは、フランスの数学者E.リュカ(Lucas)が、1883年に出版した「数学遊戯(Recreations Mathematiques)」の中で、友人のクロース(Claus)教授から送られてきたパズル玩具「Tower of Hanoi」の説明書という形でした。クロース教授の話によると、東洋に旅行した際、中国の清時代の高官FER-FER-TAM-TAMが残した文書の中にその原典があるというゲームで、3本の支柱の1本に、大きさの異なる円板が8枚刺さっていて、これを1枚ずつ動かして、他の支柱に移すというものです。ただし、小さい円板の上に、大きい円板を重ねてはいけないというルールがあります。さらに、インドのベナレスの寺院には、ダイヤモンド製の3本の柱に、純金製の64枚の円板が置かれたものがあり、バラモン教の僧侶が太古から修業として、円板の移動を行っていると記されていて、それができたとき、世界は終末を迎えると言い伝えられていました。しかし、これはリュカのまったくの創作で、クロースの名前はリュカのアナグラムであることが、後に分かりました。文中に出てくる“FER-FER-TAM-TAM”も17世紀に活躍したフランスの数学者フェルマー(Fermat)のアナグラムです。
このパズルは、その後、「ハノイの塔」、「リュカの塔」、「バラモンの塔」などの名前で作られ、現在でも売られている超ロングセラーの商品です。また、この解法手数も研究されていて、最低2n-1回必要なことが分かっています(nは円板の枚数)。前記の64枚の場合、最少の手数は、1844京6744兆737億955万1615回となります。1回の移動に1秒を要するとすると、約5845億5453万年掛る計算になります。ベナレスの僧侶がいつから始めたかは分かりませんが、終末までにはまだまだ遠いようです。
アニメ中では、ジンは17枚目を中央に移動したところ(図2)でした。
ここまでの手数が
(216-1)+1= 65536 手
残りの手数は、
(264-1)-65536 = 18446744073709486079
つまり1844京6744兆737億948万6079手です。
この手数の解法は、再帰的アルゴリズムといわれ、コンピューターによって解析されました。また、同様の方法で解析されたものに、「Chinese Ring(九連環)」があります。
次回は、再び、カイトとギャモンが闘います。負ければ必ず死ぬという支柱パズル。はたして、その結末は…。そして、カイトの身に大きな変化が…。次回をお楽しみに、それでは。
(文責:郷内邦義)
第22話に登場したパズルに挑戦!
アナタはこのパズルが解けるか!?
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