今回は、再び、ギャモンとカイトが対戦型パズルで闘います。ギャモンは、最後の勝負と思い、それこそ、負ければ死ぬことになる支柱パズルを作りました。POG本部内に設けられた、立方体の容積を持つ特製バトル場。4面の壁には10×10のマス目があり、ここから支柱が飛び出して来ます。支柱は全部で400本ある計算ですが、出る方向によって、他の支柱を堰き止めてしまうので、実際にはここまで出ません。プレーヤーは、この部屋の底面からスタートし、支柱を使って、10階先の出口を目指します。先に出口に到達したプレーヤーの勝ちとなります。途中、支柱を使って、プレーヤーをぶつけて落としても、あるいは死なせても構わないという,恐ろしい要素もあります。1人がゴールすると、支柱が一斉に飛び出して、中に残ったプレーヤーを押し潰します。殺人パズルとしての凶悪さはここにあります。また、いくつかのルールがあって、他人が乗っている支柱に乗ってはいけない、つまり1つの支柱の上に乗れるのは1人だけ。
では、カイト対ギャモン戦の棋譜を紹介します。図は、上から見たところ。4つの壁には、スペード、ハート、クラブ、ダイヤのマークが付いています。
このパズルのアイディアは、映画「インディ・ジョーンズ」のような世界で、壁から障害物が飛び出して行く手を塞ぐようなイメージからです。最初は、飛び出す支柱を、床と天井も加え、6方向にしてみたのですが、もう頭の中だけでは思い描けなくなって、前後左右の4方向で落ち着きました。負けると、すべての支柱が飛び出すというアイディアもすぐに決まったのですが、ではオチをどうするかが最大のポイントでした。いかにカイトを引き立て、ギャモンを救うか。スタッフ全員で、ウーウーうなりながら考えていたところ、30分くらい経過した頃、佐藤監督のひらめきで、このアイディアに決まったのです。正確に同時に支柱が出ないといけない、少しでもずれたら思惑通りにはなりません。これはカイトも同じように考えるわけですが、POGの仕事はきっちりしていると信じて(今までのパズルから)、こうなることを予想できたことになりました。ストーリーの緊迫感を思えば、大概の人は、カイトは勝って(ギャモンの勝ち筋をすべて塞ぐことで勝利)も、ゴールしないのではと考えたようで、まさかすべての支柱が飛び出すことになるとは思わなかったようです。10階部分は、この死角ができないように、ゴールへの道を作るという形できれいに塞ぎました。上から順に支柱が戻ると、対角線上にポッカリ隙間が現れます。ここで、このオチが明かされるわけです。手前味噌ですが、パズルの醍醐味、トリック、オチと、会心の出来だった回だと思います。
いよいよ、ラストに向けて、カイトとルークの心模様が描かれていきます。第1シリーズ、残り2回にご期待ください。
(文責:郷内邦義)
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