今回登場するギヴァーは、マッド・サイエンティストのような、通称・町造課長と呼ばれる人物。公務員でありながら、POGのギヴァーとは…。私たちの周辺にも、そんなギヴァーが隠れているかもしれませんね。その町造課長は、公園建設の際に、16個の数字を忍ばせたとあります。公園全体が正方形だったこともあり、たぶん初めは公園の安全と発展を願って、魔方陣を組み込んでみたのでしょう。
魔方陣とは、n×nのような正方形のマスに、1から順にn×nまでの整数を入れ、縦・横・斜めの各列の合計がどれも同じになるものをいいます。3×3のものを三方陣といい、これが最小の魔方陣になり、答も1通りしかありません。各列の合計は15です(図1)。
また、4×4のものを四方陣、5×5のものを五方陣と呼びます。
中国の古い言い伝えによると、夏王朝の始祖である禹(う)が、洛水という川の洪水を治めたとき、背中に9つの模様のついた亀が現れたといいます。この模様こそが三方陣だったとか。魔方陣には不思議な力があると言われ、特に三方陣は「洛書」と呼ばれ、後の九星術などの占いに多大なる影響を与えたとされます。
インド中部のカジュラホで発見された、11~12世紀頃の彫刻の中に四方陣がありました。これは完全魔方陣と呼ばれ、4隅の合計も、2×2で区切ったマス目の合計も同じ34になります(図2)。
7 | 12 | 1 | 14 |
2 | 13 | 8 | 11 |
16 | 3 | 10 | 5 |
9 | 6 | 15 | 4 |
ルネッサンス時期に活躍したドイツの画家デューラーの銅板画に「メランコリアⅠ」という作品があります。この中に四方陣が描かれていて、面白いことに15・14と並ぶところがありますが、1514年はこの作品の制作年に当たります。この銅板画は、現在イギリスの大英博物館に所蔵されています(図3)。
日本では、1684年に出版された「算法闕疑抄(さんぽうけっぎしょう)」の中に三方陣が登場します。京都・福知山市の妙龍寺に奉納された算額には、7×7の魔方陣があります。また、古くから三方陣の覚え方の歌がありました。
「憎し(294)と思うな七五三(753)六一(61)坊主に蜂(8)が刺す」
江戸時代には、熱病のお守りにも使われたといいますから、古くから関わりがあったんですねえ。今では考えられません。
町造課長も、そんなことを知っていて、魔方陣をしのばせたのでしょうか。カイトが途中までに見つけた数字は図の通りです(図4)。これの解き方については、こちらをご覧ください。
2 | 3 | ||
8 | |||
9 | 6 | 12 | |
十二面体のオブジェ、六角形の敷石、八角形の東屋、三角形のベンチぐらいなら分かりますが、野球の9、白鳥の2になると、ちょっとオヤジギャグっぽいですね。ちなみに、その他の数字もご紹介しましょう。
1…公園の入口にある日本一を示すモニュメント
4…図書館の形が四角形
5…黄金比の銅像。黄金比は正五角形の中にあるという事から
7…七草を植えた花壇
10…丸い噴水と長いベンチで10を表現
11…2本の水路が11を表現
13…花や石による13の隠し文字
14…果物畑、「ジューシー」のダジャレ
15…掲示板に貼られたイベントのポスターに、大きく15時開始の文字が
16…ライオンの遊具、「しし十六(4×4)」のダジャレ
すべてを埋めてみると分かりますが、この魔方陣、2×2のブロックに分けてみても、その合計が34になるんですねえ。前述しました、これも完全魔方陣の1つです。
三方陣は1通りしかありませんが、四方陣以上はいくつもあります。その後のキュービックくんのように、みなさんもいろいろな魔方陣探しに挑戦してみてください。
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(文責:郷内邦義)
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