今回は、POG極東本部長ことヘルベルト・ミューラーが、自らカイトにパズル・バトルを仕掛ける話でした。楽しいはずの学園祭の裏で、おぞましい計画が進行していたとは、誰一人知る由もありません。もう1つ重要なのが、生徒会長でパズル部部長の軸川ソウジの謎が、一部紹介されるところです。彼がミノタウロス本人であることは分かっていても、POGでどんな役割を担っていたのかまでは分かっていませんでした。まず初めに、彼がソルヴァーとしても、ギヴァーとしても優秀であることが垣間見えます。
学園祭の話題でにぎやかな天才テラスに、パズル部の武田と相沢がやって来ます。毎度のことですが、ナンプレでカイトに挑戦するためです。おそらく、学園祭のために何日もかけて、取って置きのナンプレ(図1)を拵えたのでしょう。自信満々でしたが、カイトに“相変わらずブサイク”と一蹴されてしまいます。そこに現れたソウジは、パッと見るなり、きれいなナンプレに作り変えてしまいます。直すためには、まず解かなければなりません。それだけでも、相当なソルヴァー能力といえます。そして、元図から新しい数字の配置をイメージします(図2)。ここで必要な部分を加筆します(図3)。さらに、余計な部分を削除します(図4)。そして、解けるかどうか、難易度はどうかなどのチェックを経て、完成となるわけです(図5)。これらの工程は書きながら行いますが、頭の中でできるソウジも相当な天才と呼べるでしょう。
8 | 5 | |||||||
1 | 2 | 3 | 9 | |||||
9 | 6 | 1 | 3 | |||||
1 | 5 | 3 | 2 | |||||
9 | 6 | 1 | ||||||
2 | 1 | 8 | 3 | |||||
1 | 2 | 3 | ||||||
3 | 7 | 5 | 9 | 8 | ||||
2 | 5 |
8 | 5 | |||||||
1 | 2 | 3 | 9 | |||||
9 | 6 | 1 | 3 | |||||
1 | 5 | 3 | 2 | |||||
9 | 6 | 1 | ||||||
2 | 1 | 8 | 3 | |||||
1 | 2 | 3 | ||||||
3 | 7 | 5 | 9 | 8 | ||||
2 | 5 |
8 | 3 | 5 | ||||||
1 | 2 | 3 | 6 | 9 | ||||
9 | 6 | 1 | 3 | 7 | ||||
1 | 6 | 5 | 3 | 2 | ||||
9 | 6 | 1 | ||||||
2 | 1 | 8 | 3 | 7 | ||||
8 | 1 | 2 | 3 | |||||
3 | 7 | 5 | 1 | 9 | 8 | |||
2 | 6 | 5 |
8 | 3 | 5 | ||||||
1 | 2 | 3 | 6 | 9 | ||||
9 | 6 | 1 | 3 | 7 | ||||
1 | 6 | 5 | 3 | 2 | ||||
9 | 6 | 1 | ||||||
2 | 1 | 8 | 3 | 7 | ||||
8 | 1 | 2 | 3 | |||||
3 | 7 | 5 | 1 | 9 | 8 | |||
2 | 6 | 5 |
3 | 5 | |||||||
1 | 2 | 6 | 9 | |||||
9 | 1 | 7 | ||||||
6 | 5 | 3 | 2 | |||||
9 | 1 | |||||||
2 | 1 | 8 | 7 | |||||
8 | 2 | 3 | ||||||
3 | 7 | 1 | 8 | |||||
2 | 6 |
さて、学園祭が盛り上がり始めた頃、ヴェネチアンマスクのヘルベルトが学園に現れます。学園祭の最中ですから、仮装をしていたとしても怪しまれません。そしてノノハを人質に、カイトを誘き出します。ここで使ったギヴァー名は「WARLOCK」(ワーロックまたはウォーロック)で、これは男の魔法使いを意味します。ヘルベルトが用いたパズルは、論理パズルと呼ばれるタイプのもので、特にこれはうそつき問題などといいます。当初、論理パズルは、思考中心になってしまって、動きがなく、アニメ向きではないのではという指摘もありましたが、ドワーフ人形を使った設定などのディテールのこだわり、おどろおどろしい舞台装置や謎解き、演出の力によって、魅力的なパズルに仕上がりました。時間と共に、火が回り、人形が崩れて行く姿は、名シーンと呼べるでしょう。ここでカイトのピンチを救ったのがソウジです。ソウジがニュートンという称号持ちであることも明かされます。だから好物の林檎を悪質なパズルに使われるのが許せなかったのか、あるいは理想としていたPOGの卑怯な部分が許せなかったのか。彼の正義により、態と解けないパズルにされていたものを、正しいパズルに直されました。もちろん、そうなればカイトのもの、見事に正解を導き出しましたが、時すでに遅しとテントは崩壊し始め、もう終わりかと思ったところに、オカベ君に乗ったキュービックとソウジが現れて、カイトたちを救出。学園祭のデモンストレーションでは、失敗だったオカベ君ですが、肝心なところでは役目を果たすあたり、さすがエジソンといえるでしょう。それにしても、ヘルベルトの姑息な手には、つくづく嫌気が差しますねえ。最後の学園長の叱責が、冒頭のシーンの仕返しとばかりに決まって、胸がすく思いです。
論理パズルとして、雑誌などでよく見掛けるのは、組み合わせを当てるタイプのものです。アインシュタイン式論理パズルは、アインシュタインが作ったとされるものが起源といわれ、それの発展型がマトリックス式です。組み合わせ表に○×を書き込むことで、答を導き出します。アインシュタインは、このパズルが解けるのは2%の人だけと豪語していますが、パズルの認知度が上がった現代ではもっと多くの人が解けると思います。興味のある人は、ネットなどで探してみてください。論理パズルの面白さは、やはり筋道を立てて、解き明かされる、推理小説のような味わいにあると思います。ぜひ、みなさんも、そうした論理パズルに挑戦してみてください。
(文責:郷内邦義)
第9話に登場したパズルに挑戦!
アナタはこのパズルが解けるか!?
[ あらすじへ戻る ]