ルークによって瀕死の重傷を負ったカイトは、病院に収容されましたが大事には至らなかったようです。そして、ルークが次に取った行動は、ルーク曰く、カイトの周りのカビを取り除くこと。その手始めとして狙ったのが、エジソンの称号を持つキュービック・ガロアでした。ただ連れて来るのではなく、キュービックにパズルを出して誘い込もうというのは、いかにもPOGらしいといえます。パズルが解けないようでは、呼んで潰すほどでもないということなのでしょう。
だれもいない病室の一角に、生体情報モニターが心拍数の電子音を鳴らしています。これがモールス信号になっていることにキュービックは気が付きます。シナリオの段階で作ったのが(図1)です。
上図:マ/テ/゛(濁点)/コ/イ
下図:エ/シ/゛(濁点)/ソ/ン
大きな波が長音を、小さい波が短音を表しています。「○○まで来い、エジソン」という暗号文でした。
さて、呼び出しに応じたキュービックは、廃棄された軍事施設にやってきました。ここで待ち構えていたのは、POG3幹部の一人フンガです。そして出題されたパズル(図2)は、四則演算クロスと呼ばれる、計算式で構成されたクロスナンバーの中に、答に合うように1から9の一桁の数字を入れるというものです。このパズルの場合、各式の答はすべて10にするという条件があります。また、1つの式の中に同じ数字を重複して使ってはいけません。数字を入れる箇所には電卓などで見られるようなデジタル表示が採用されています。このデジタル表示の一部の点灯が、解くためのヒントになっています。
考え方の基本として、キュービックが考えたようなことがポイントになります。○×○=10となるのは、2×5か5×2しかありません。もし、○+○=10だと1+9から9+1までの9通りあります。また、常に式の答えは10の整数なので、式の中の÷も必ず整数になります。たとえば、3÷7+○のような答えはないということです。ただし、×と組み合わせれば、5÷4×8=10のように、この限りではありません。ただ、乗除が加減より絞り易いことが分かると思います。この問題の実際の解き方をこちらに示しておきます。
ブロック4までの問題では時間切れで失敗したキュービックでしたが、最後のブロック5で何とかクリアに成功しました。しかし、この問題はルークが5歳の誕生日に作ったと聞かされたキュービックは、大変なショックを受けました。ルークの天才ぶりにも驚かされますが、18・19世紀に活躍したドイツの数学者ガウスは、ことばを覚えるよりも先に数字を覚えたといわれ、3歳の時に父親の給与計算の間違いを指摘したという逸話が残っているほどです。ルークには敵わないと悟ったキュービックですが、私たちから見れば十分、キュービックも天才だと思います。では、今月はここまで。
(文責:郷内邦義)
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